ikinuki

校正あんまりしないひとの話

なくなったばかりのじいちゃんへ

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じいちゃんはこの世にはいないけど

残されたものとして、じいちゃんの存在をどこかにふっと置いておきたい。

仏教の宗教観からすると、今一生懸命天に上がろうとしているじいちゃん。

身体は終えても、大変だね本当に楽になるまでは。頑張れじいちゃん。

 

洗濯物は芸術的に畳まないと気が済まないね。

わたしのタンスを開けるといつも美しい景色だったよ。

カラスは大敵でよくゴムの玉無しパチンコで窓から音を出して追い出してたね。

自慢げに「行ったぞ〜!」って笑ってたね。その笑顔まだ思い出せるよ、愛しいな。

また戻ってきて憤慨してたけど、それまで含めてワンセットなんだよね。

夜になるとお得意の「あっこいあっこい」を呑む。語源はなんなんでしょう?

信仰深いじいちゃんは朝も、夕方も毎日お経を唱えてたね。わたしがお夕寝から目を覚ますといつもお経を唱えてたその後ろ姿、覚えてるよ。

もう見れないだなんて信じがたいね。

私が幼稚園に入れなかった年、お寺に連れてってくれてお花を作ったね。

私は不器用だったけど、じいちゃんが丁寧に直してくれて作ったっけな。

夕方には手を繋いで河川敷を歩いたね。階段にタッチして帰るのが私たちのお約束。

その時はなにを話してたんだろうね。私は幼すぎて覚えてないよ。

でも「ターッチ!」の声はなんとなく覚えてる。そのあとじいちゃんは「カッハッハ〜」って笑ってたね。それは覚えてる。

スイミングに通った1年半は、じいちゃんがいつも迎えにきてくれてセブンティーンアイスのカラメルプリンをいつも買ってくれたね。

それを食べながら歩いて帰ったり車に乗って帰ったりしたね。

ああ、そうだ、歩いて帰る日は先にじいちゃんがあっこいあっこいを呑んだ日だ。

私がプール入ってる時も手を振ったりすると、静かに頷いてたね。

じいちゃん、シャイだからなあ。

じいちゃんの具材ゴロゴロで、水分がないカレー。

すき焼きとは呼べないが、なぜかすき焼きと呼ばれていたアレ。

マグロを週4で食べて、飽きたと贅沢を言ってた中学時代。

伊達巻死ぬほど詰めてたおせち。

「じいより」の文字が可愛い、お年玉袋。

お小遣いもらうのが苦手な私にくれた、じいちゃんの500円玉貯金。

 

じいちゃんからの最後のプレゼントは、確か昔じいちゃんが使ってた腕時計にした。

私はこれからも色んなところに行くつもりで人生を歩むけど

じいちゃんも一緒に連れて行きたいんだ。大事にするから、見守っておくれ。

色んな写真も入れたけど、もしじいちゃんが時間があるなら行ってほしい。

これまでじいちゃんに話してきた国の景色をじいちゃんにもみてほしいんだ。

いろんなことを知りたかったじいちゃんは、きっと楽しいと思うから。 

 

じいちゃんにまた会うまでに時間がかかるね。

じいちゃんに会うまでに私は結婚して、子どもを産んで、世界を旅して、今よりもっと聞いてほしいことがあるだろうからいっぱい聞いてね。

人は亡くなると20歳の見た目に戻る、なんて考え方もあるみたいだから若いじいちゃんに会えるのが楽しみだよ。私が20歳の時は顔がパンパンだから27歳くらいの見た目であいたいなあ

 

「おぉ〜、おっきくなったなあ〜」ってまたニコニコしながら言ってね